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[PR]音楽、映画、読書の楽しみ方について

 普段生活に追われていると、映画や小説では単純明快な話、音楽はシンプルな構成の曲を楽しむことが多い。そういうオーソドックスなものは単純に楽しめるので仕事で疲れた脳を一時的にストレスから解放させてくれる。しかしそういったものばかりに触れていると「この前観たのもこういう映画じゃなかったっけ?」とか「聴いたことあるような曲だなぁ」と思ってしまうこともある。そういう時は普段ならスルーしてしまうような変わった作品にチャレンジする。

デヴィッド・リンチ監督の「ロストハイウェイ」という映画がある。主人公の男は物語の中盤で全く別の男に変貌する。主人公が変身能力の持ち主という話でもなく、以降そのことについて映画内で分かりやすい説明がされることはない。こんな映画は初めてだった。演出意図は勿論ある。しかしなぜそうなったのかを、少なくとも表面的には明かさない映画があるということが衝撃的だった。語り口それ自体が通常の説明的な作品とは極めて異質。観た当時、普通のハリウッド映画に飽きていた筆者には魅力的かつ斬新に映った。

こういうタイプの作品は一般的にはあまり歓迎されるものではなく、周りの人に薦めると「わけがわからない」と言われることも多い。しかしそういう作品の中には視点を変えると固定観念に揺さぶりをかけるものもある。デヴィッド・リンチには熱狂的な支持者が多く存在する。彼らは答えが無いことを拒絶するのではなく楽しむ。

映画や小説、音楽を楽しむ時、人は大抵お約束事を想定する。起承転結や楽曲構成等、それらは数多く存在し、鑑賞者を縛り付ける。確かに人が何も考えずに作品を楽しむには重要な要素ではある。しかし、そういうお約束ごとを一度頭の中から取り払ったうえで今まで理解できなかった作品に触れると、それは「(映画や小説、音楽は)こういうものだ」という思い込みを破壊する斬新な作品に生まれ変わり、芸術はもっと自由でいいという気持ちにさせてくれることもある。そしてそういう作品を日々楽しむうちに、普段の自分の生活(仕事や社会的関心など)においても固定観念から解放されて考える視点が増していることに気づく。

確実に家の中で過ごす時間が多くなった昨今、一度観たけど理解できなかった"変な"作品に視点を変えて改めてチャレンジしてみることをお勧めする。それは自分の人生体験を豊潤にしてくれるダイヤの原石かもしれない...。